脱フォトグラファー/写真より「時間」を残したい人

香川県で子ども撮影の現場に立っています。泣く日も笑わない日も、「いい写真」より「いい時間」を残したい。このブログでは現場の迷いと救われた瞬間を記録。脱フォトグラファー/写真より「時間」を残したい人

「うちの子、人見知りなんです」と言われたとき

goegoe


撮影前に一番よく言われる言葉があります。

「うちの子、人見知りなんです。」

ほぼ、毎回言われます。

ママは少し申し訳なさそうで、
パパは少し心配そうで。

でも、僕はその言葉を聞くと
少しだけ安心します。

人見知りができるということは、
ちゃんと“人を見ている”ということだから。

知らない場所。
知らない大人。
慣れない服。

不安になるのは、当たり前です。

だから僕は、最初から笑わせようとはしません。

まずは距離を取る。

いきなりカメラを向けない。
名前もすぐに呼ばない。

親と話しながら、
子どもがこちらを“観察する時間”をつくります。

そして一番大事なのは、
親の緊張をほどくこと。

親が安心すると、
子どもも安心する。

これは何年やっても変わらない事実です。

人見知りは、弱点じゃない。

その子のペースがあるだけ。

そのペースを尊重できるかどうかが、
カメラマンの仕事だと思っています。

笑顔を無理につくるのではなく、
笑顔が出てくるまで待つ。

「ちゃんと撮れますか?」と聞かれるたびに思います。

ちゃんと撮るために、

ちゃんと待ちます。

いつシャッターを切らないか

goegoe


実は、
僕はシャッターを切らない瞬間があります。

カメラマンなのに、
あえて撮らない。

それは失敗したときでも、
設定が間に合わなかったときでもありません。

「今は撮らない方がいい」と
判断する瞬間があるんです。

たとえば、

子どもが急に不安になって
ママの服をぎゅっと握ったとき。

その表情は、ある意味“本物”です。
写真に残そうと思えば残せる。

でも、
その瞬間にカメラを向けることで
空気が固くなってしまうこともあります。

親が必死に声をかけているときもそうです。

「大丈夫だよ」
「ほら、がんばろう」

そのやり取りは、
撮るための時間ではなく、
整えるための時間だと思っています。

兄弟が自然にじゃれ合っているときもあります。

あえて声をかけない。
あえてシャッターを切らない。

空気が育つのを待つ。

写真は一瞬を切り取るものですが、
その一瞬は“流れ”の中で生まれます。

焦って切ったシャッターより、
少し待ってから切った一枚の方が
ずっとあたたかいことがある。

昔は、
「いい瞬間を逃したくない」と思っていました。

でも今は、
「空気を壊したくない」と思うようになりました。

撮らない判断も、
実はカメラマンの仕事です。

シャッターを切ることより、
切らないことの方が難しい。

それでも僕は、
家族の時間がちゃんと流れることを
優先したいと思っています。

写真はあとから残ります。

でも、
その場の空気は一度きり。


だからこそ、

その空気を守れる人でいたい。

撮影が終わったあとに残るもの

goegoe

撮影が終わったあと、
実は僕が一番好きな時間があります。

カメラを置いて、
今日撮れた写真を一緒に見る時間。

「ほら、ここ見てごらん」
「わぁ!」
そんなやり取りが生まれる瞬間です。

この日も、撮影が終わったあと
カメラの背面モニターを一緒にのぞき込みました。

マスク越しでも伝わるくらい
子どもの目はキラキラしていて。

その様子を、ママがそっと撮ってくれていました。

そして後日、
「この時間がすごく良かったです」と
わざわざ店舗のLINEにその写真を送ってくださったんです。

正直に言うと、
僕は“いい写真を撮ること”ばかり考えてきました。

ライティング、表情、構図、タイミング。

でも最近、少しずつ思うようになりました。

写真はゴールじゃない。

その時間がどうだったか。
その空気がどうだったか。

撮影が終わったあと、
親子が「楽しかったね」と言い合えるかどうか。

そこにこそ、本当の価値があるのかもしれない。

この写真は、
僕が撮った写真ではありません。

でも、

この日一番“残ったもの”が写っている気がします。

家族の時間が少しだけあたたかくなる場所でありたい。

そんな一日を、
また一緒につくれたら嬉しいです。